ホワイトカラーエグゼンプションについて言いたい放題

もう散々話題に出てることだから、残業代がどうとか、一億総ブラック化とか、そのへんのことはいいや。もうちょっと切り口を変えて思考してみる。


今の労働法の基本コンセプトっていわゆるno work no payだよね。

つまり、働いた時間分の賃金を払うって考え。

極端な話、1分働いたら1分分の賃金を払うわけだ。まあ、会社によって10分とか15分で切り下げたりといったグレーな対応をしているけど、基本的にはこのコンセプトに沿ってると思う。




じゃあ、WEの場合は?時間は関係ないよね?

残業代もないけど、逆に労働時間が短くても同一の賃金が支払われる。

じゃあ、何に対して金が支払われるのか?っていうと、実は結構設定があいまいなんじゃないの?って思うんだよね。




よく言われているのが成果に対してって言葉。

だけど、実際に成果って何だろう?

営業の人ならノルマとかわかりやすい指標があるかもしれない。
工場の労働者なら完成品の数とかでノルマ達成とかを計ることも可能かもね。

だけど、例えば、事務員とかどうなんだろう?エンジニアとかは?教師とかは?明確な成果たる目標の設定って可能なんだろうか?




それから、これまで遅刻とか欠勤とか時間に対して実にうるさく賃金に反映する形で罰則を設けたりしてきたけど、WEの場合、焦点が時間じゃなく成果になるわけだから、成果が出せなかった場合に賃金減らしたりするわけ?

これって、事前にどの程度の成果を出すことが可能か?っていう話し合いを、労働者と管理職の間でかなりハードに議論して話を詰めないとあまりにも管理側に有利なシステムで、フェアな労働契約といえないんじゃないの?

日々、その日の目標を上司が勝手に設定っていうのであれば、それって労働に対する自由裁量って全く認められていないから、WEのコンセプトからは逸脱してるよね?

今の労働者と管理職に、お互いがどの程度の労働ノルマを設定するか?ってことをきちんと決めて文書化できるんだろうか?

会社間の仕事の発注とかは契約書作ってるよね。期限、成果物の内容、個数を決めて、それに対する対価も決める。遅れた場合のペナルティについても契約書に盛り込むよね。これとなんら変わらないシステムってことだよね。




こうして考えていくと、この制度の本質って、賃金の発生根拠を時間から成果に変えることで、成果に対するコストを一定の数値で確保したいってことだよね。

言い方やシステムに差異はあるけど、労働者1人1人を1個人事業主として契約してるのと変わらない。各個人事業主がこれまで以上にお互いにしのぎを削るしかなくなるわけだ。



そして恐ろしいことにこの制度を取り入れても、問題の本質である労働者1人あたりの労働生産性が低いということが全く解決しなさそうだよね。WEっていう制度の導入って、結局、労働者一人あたりの労働生産性が低い問題を、労働者1人1人の個人に責任転嫁にしてるだけだから。

大体戦国時代とかもそうだけど、戦国大名が滅んだりするのって、末端の足軽とかがちゃんと働いてないからじゃないよね?どう考えても違うでしょ。当主である大名本人と家老陣の無能さが原因だよね?




WEの導入を望んでいる経団連、もしくは現世代の企業経営者たちって、大昔の歴史からもつい最近の歴史からも何も学んでいない無能なアホばっかりなんだなってことよくわかる。

成果主義を取り入れて大失敗して人事制度を元に戻した会社は数知れずだよね。日本人には成果主義は馴染まないって負け台詞まで吐いてさ。

その負け台詞を吐いたことも忘れて、また形は違うけど成果主義を導入しようっていうんだから、本当に何も学んでいないし頭を使って考えていないんだなってことがよくわかる。

目先の残業代をケチって、形を変えた成果主義を導入しても、本質は何も変わっていないのに、うまくいくとでも思っているんだろうか?