少子化と老人福祉。何のために子供を作るのか?

子供は可愛い。子供の成長を見守るのはなかなかの楽しみだ。だから、子供を作ってよかったと思ってる。今の時点では。


だけど、はっきりいうが、今、40代中盤の自分にとって、子供を産んで育てるということに関して、経済的に感じられるメリットは皆無でかなりの負担だといっていいと思う。


そして、この事実は結婚前からわかっていた。子育ては金と手間がとにかくかかる。


じゃあ、なんで子供を作ったのか?端的にいえば、本能5割と好奇心が5割。つまり夫と父親というものを経験してみたかったわけだ。


周囲からの結婚や子作りの圧力は確かにあったが、それはほとんど考慮に入っていない。今の妻と出会う前は、一生独身のままでもいいと本気で思っていたので、そういう圧力を完全に無視していたし。


金銭的な見解をいうなら、本能と好奇心を満たすための代償としては、かなり高額だ。実利がないのだから、金がかかりすぎる道楽、趣味といってもいいかもしれない。


当時、たまたまソコソコの高級取りだったから結婚と子作りに踏み切ったが、金がなかったなら、この決断はしなかったかもしれない。


江戸時代の農家なんかは、子供は働き手としてアテにできるため、積極的に子供を作った。つまり子供は一種の投資だったわけだ。


今の時代はどうだろう?老後、ひょっとしたら面倒をみてくれるかもしれない。ただ、そんな30年以上先のことを考えて投資のつもりで子供を作る人はいない。


こう考えると、少子化を解消するのがいかに難しいかがわかってくる。


家族が増えて子供を可愛がるのは確かに楽しいが、それは経験しなければわからない。でも未経験のうちから、子育てにはとんでもなく手間と金がかかることがわかっている。


未経験の楽しさと判明している重い負担を天秤にかけて、未経験の楽しさを選択するのは、普通は難しいのだろう。


逆にいえば、この部分を解決すれば少子化には歯止めがかかるはずだ。そして、本気で少子化を解決したいのであれば、荒療治は必須だろうと思う。


具体的に何をするか?については、言及しないが、きちんと財源を確保して投入すれば一定の成果が出るはずだ。


その財源だけど、ズバリ老人福祉から引っ張るのが一番よいと思う。


老人福祉にいくら金をかけても底なし沼に金を投入するようなものだ。彼らには生産性がないし、延びしろもない。国費に対して一定の比率以上に金をかけるのは国家運営の投資行動として不適格だと思う。


もちろん、最低限のセーフティネットは準備すべきだろう。一箇所に集めて効率的に介護できるように環境を整える必要はあると思う。だけど手厚くする必要ないと考える。


統計的には、この国は老人が一番金をもっているのだから、それを老人世代の中でならすことを考えたほうがいいと思う。


老人を大切にしましょうという道徳的な話と、国家運営の話をまぜこぜにするから、問題がおかしくなる。日本という国を存続させなければ、老人福祉も何もない。


この問題を考えるとき、最大の問題は選挙制度だと思う。世代間格差と闘争がハッキリと現実のものになりつつある今、老人世代の票田としての強さは厳しいものがある。


これって民主主義の限界なんだろうね。