自分に危害を加えた相手が障害者（全盲でも知的障害でも）だった場合の大人な対応の仕方とは。

この事件で思い出したことがあるんだよね。もう２０年近く前の話なんだけどさ。

まだ２０代前半で腹も出てなかった頃の私が仕事を終えて、駅から自宅までの道のりを歩いているときに、それは起こったんだよね。

前をおそらく全盲と思しき人が歩いてたんだよ。白い杖を地面にカツカツあてて、前に進んでいた。

で、その人が突然立ち止まったわけ。私は、特になにも思うことなく、後ろからその人にどんどん近づいていくわけ。

そしたら、その人、突然、白い杖を私の目の高さくらいで水平にして、左右にぶんぶん振り回したんだよね。

突然のことで、もちろんビックリしたんだけど私は何とか反応できたんだよ。まだ大学卒業してすぐくらいだったから、反射神経もよかったんだと思う。

杖は私の目のすぐ近くまできて、そのままなら目に衝突ってところだったんだけど、すんでのところで私はそれを避けることができたんだよね。、

で、もちろん私は怒り心頭なわけですよ。いくらなんでもひど過ぎる。他人の目に近い高さを腕で伸ばして杖を振り回すこと自体が論外だと思うけど、百歩譲ってそれがどうしても必要な行為なら、せめて周りに声をかけて大丈夫か確認をすべきだと思うんだよね。

で、当然、私は文句をいったわけ。危ないじゃないか？もうちょっとで目にあたるところだったってね。もちろん、一切、手は出してないよ。

その人は、私の苦情を聞いていたと思うんだけど、周囲がどこだか把握できなくなって、杖を振り回して、場所を把握したかったといったんだけど、向こうから謝罪がなかったんだよね。

それでさらに頭にきてしまって、「まずは、すみませんだろうが！」と怒鳴ったわけ。

駅前の道路でそんな怒鳴り声を出したら、どうなると思う？そりゃ、もう周りにギャラリーがいっぱいですよ。

でも、私が白い杖に当たりそうになったのを何人もの人が目撃していたから、私が一方的に悪いって話にはならなかったけど、とはいえ傍目からは健常者が障碍者に食って掛かってるように見えたんだろうね。

んで、駅前の交番から警察官が到着ですよ。もちろん、警官はそんな事情は全く知らないから、私が一方的に悪者扱いだったわけ。ま、どうみたって、事情を知らなければ私が悪者だよね。

私が警官に取り囲まれてるときに、目撃者だった人が数人、私の味方をしてくれて、その後、交番に移動することになったんだけど、一緒に交番にもついてきてくれたんだよね。

で、あーだこーだ散々モメた上、その白い杖の持ち主は、一言だけ「すみませんでした。」と言ったんだよね。

私はもちろん、目撃者として証言してくれた人も、警察官も、全員が脱力ですよ。

この事件があってから、私は固く心に決めてるんだよね。「絶対に近くにいかない。かかわらない。」って。だって、デメリットだけで、何のメリットもないもん。

もちろん、この例が特殊な例だってことはよく理解しているよ。自分がレッテルを貼ってるってことだって、ちゃんと自覚がある。

でもね、そんなことは関係ないんだ。

そういう経験をした人間は、どうしたってそれを差し引いて考えることなんてできやしないんだよ。だって、また同じ目にあったら、それは学習能力がないタダのバカってことじゃん？

何があっても、同じ目に合うのは絶対にごめんなんだ。自分は一切悪くないのに、アホみたいに警察官に取り囲まれて、時間も労力も無駄にさせられて、あんな不愉快な思いを二度としたくないんだよね。

もちろん、他人が彼らに対して、どう接しようが何をどう行動しようが、一切意見する気はないよ。やりたい人はご自由に。ただ、私は自分からは絶対に「近寄らない、かかわらない」よ。

私みたいな考えをもっている人が多いか少ないかはわからないけれど、私みたいな体験をした人は、確実に私のような考え方になるんじゃないかと思うんだよね。

今回の蹴った人は、まあ、対応が悪過ぎるし、当然叩かれてしかるべきだと思うけれど、報道されている情報のみで判断するのであれば、私は一定の同情もするよ。

きっと私もネットの掲示板等で言われている、「心無い人」にカテゴライズされちゃうんだろうなあ。